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有事の際に頼りにできる「核シェルター」ってどんなもの?

公開日:2018.01.11 更新日:2018.01.11

何が起こるか分からないこの時勢に、核シェルターについて関心を持つ人は増えてきたのではないでしょうか。今回から数回に分けて、核シェルターに関して販売店などに取材した記事をお届けします。今回は、NPO法人日本核シェルター協会の代表理事、そして核シェルターを作る会社・株式会社織部精機製作所の役員でもある織部信子さんに、お話を伺いました。以下、織部さんのお話です。

NPO法人日本核シェルター協会は検査機関として組織された

日本では普及率が極端に低い核シェルターですが、かつてスイスでは新築の時必ずつけなくてはならないという義務がありました。そしてつける時は補助金が出ました。その補助金が正しくシェルターに使われているのかどうかというのを検査する機関がスイスにあるのです。その機関に合格の書類をもらわなくてはシェルターの補助金は出ないという仕組みになっていたのです。そのしっかりとした機関を日本にも作りたいということで組織したのが、私が代表理事を務めるNPO法人日本核シェルター協会です。

日本で例えば個人が核シェルターを作ったとしても、業者がちゃんとした仕事をしているのか、正しい・危ないを検査する機関になりたいと思って最初は組織したのです。しかし、日本には核シェルターが普及していませんので、いまだに検査の依頼はありません。私が役員をしている株式会社織部精機製作所が作った核シェルターの検査のみをしているという状況です。本来は織部精機製作所からも独立させて、協会員の研修もできるような組織にしなくてはならないと思っています。

核爆発から2週間過ごすための核シェルターが必要

核爆弾というのは、爆発した瞬間は1次放射能が出ますが、その爆発でものが壊れ、壊れたちりに交じって風に乗ってやってくるのが二次放射能です。ですから、もし核爆発という脅威が起こってしまったら、風上に逃げることです。吹いてくる風の方向を見極めて遠くに逃げるのです。

しかし、知り合いも何もいないところに逃げるというのも難しい話でしょう。そこで核シェルターの出番なのです。建物の遮蔽力や土の遮蔽力で、爆風から影響を受けずにすみます。建物の下つまり地下にあればなおいいでしょう。放射能を吸い込んだり、皮膚に付いたりすると被爆します。放射能障がいや白血病など様々な病魔に苦しめられます。そこで2週間はシェルターの中で過ごすということが求められます。爆発した瞬間に比べて、2週間経つと放射能は千分の一に減ります。2週間経つと少しずつ外に出られるので、汚物を捨てるなどが可能になります。放射能というのは目に見えませんが、その目に見えない脅威から2週間遮断されれば、後の人生が健康に暮らせるのです。

シェルター業者を選ぶには「知識」が重要

本来、核シェルターは儲かるかも知れないといって仕事にしてはいけないものだと思っています。核シェルターというのは、民間防衛に類するものです。市民防衛のジャンルなのです。営利を目的とした商品ではないし、自分達の命を守る商品だということを忘れてはなりません。そうした視点で見ると、放射能の知識をしっかり持っている業者、またしっかりと工事をする業者を選ばなくてはなりません。

核から逃げるには、「空気」が大事です。その昔日本には防空壕というものがありました。頑丈な扉もなく空気も自然に入ってくるような穴でしたが、当時はそれでよかったのです。今は爆弾が進化し、空気が汚染されるようになってきました。放射能、サリン、VSガスをはじめとした世界にある全ての有害なものを取り除く装置、フィルターの付いた換気装置が必要です。

織部精機製作所が扱っている装置は、スイス軍が実験して大丈夫という太鼓判を押したものです。そういうものを輸入しています。織部精機製作所とスイスは何十年ものつきあいがあります。今までお客様から故障したという問い合わせは一度もありません。お客様事由のもの以外は壊れたということが一度もないのです。その点信頼して輸入しています。

「地下」の核シェルターが一番理想的

新築の際核シェルターを付けるなら、理想的なのは地下です。地下の核シェルターがどういうものかというと、まずは地上から階段で下るようになっています。そして頑丈なドア。厚さ20cmに重さ300キロあるドアです。そしてトイレと食事する部屋の間に仕切りがあります。ドアががれきに埋まって閉じ込められた時のために、脱出口も別に作ってあります。地下に作るような敷地がなければ、地上の一部屋をシェルターにしても良いでしょう。しかし、予算があれば地下室を作る感覚で核シェルターを作るのがおすすめです。基礎を少し深く掘って、ドアと換気装置を付けるというのが基本です。

地上の一部屋に換気装置を付けて簡易核シェルターにできる

地上を核シェルターにする場合は、1階の一部屋に換気システムを付けて、窓に目張りをするようなイメージです。これでも十分効果があります。日本の木造住宅でも可能な核シェルターの作り方といってもよいでしょう。換気装置だけならば、180万円ほどで取り付けることが可能です。料金の振り込みが確認でき次第、装置をお送りするので、業者に頼んで取り付けてもらってください。エアコンを取り付けられる業者ならば取り付けることができます。

リフォームの時に一部屋を核シェルターにしたい場合、窓に板が貼れて目張りができるようにする、もしくは雨戸が閉められるという状態にしておき、できるだけ密閉状態に近くしておきます。そして部屋に一つ換気装置を付ければ、自宅の一部屋を核シェルターにできます。換気装置は今とても売れています。

新築で地下に核シェルターを作る場合の相場

新築の際に核シェルターを作るならば、大手の住宅メーカーよりも地元の工務店や大工さんに施工してもらう方がやりやすいでしょう。核シェルターの値段に関しては、工事業者やその地方の物価次第だといえます。見積もりの取り方としては、3畳プラス6畳の倉庫を地下に作ったらいくらぐらいかかるか、ということを大工さんや工務店に相談してみるのがおすすめです。そのうえで当社に相談していただくのがよいでしょう。核シェルターに欠かせない換気装置とドア3枚でざっと500万円かかります。そこに地下を掘るなら500万か1000万円か、そこは近所の相場次第です。あとは鉄筋やコンクリートの量で値段が決まります。

有事の際は電気が来ない可能性がある

電気は核シェルターにひけますが、有事の際は電気が来ない場合が多いでしょう。当社の換気装置は停電時には手で回して換気できるタイプのものです。また、携帯電話の電波に関しては、アンテナをひくことができます。けれどもいざとなったら携帯電話の電波も来ないでしょう。「電磁パルス」と呼ばれる、電気製品を誤作動させるなどの作用がある電磁気のものすごいものが発生する可能性もあります。電磁パルス対策として、ラジオなどは密閉された金属の箱に入れておくとよいです。そういう箱は、電磁パルスを防ぐことができます。同時に複数のラジオなどを外に出すとやられた時に怖いので、一つずつ出すようにします。

トイレや水、食料備蓄に関する考え方

トイレは、簡易トイレをおすすめしています。流すトイレは、水がいりますし、その水も汚染されていないものをタンクで貯めなくてはなりません。爆発などでタンクが壊れて逆流しても困るので、逆流防止弁も必要です。そういうことやコスト面を考えると簡易トイレがよいでしょう。ビニール袋に一度ずつ用を足せて、そして密閉して捨てられるという商品があります。水は仮に2週間避難生活を送るとすると、一日2リットル×14日間の量が必要です。しかし、2週間後に核シェルターから出たところで、安全な食べ物や飲み物があるかどうかは分かりません。そこで、できるだけたくさん水や食料などを備蓄しておくというのが今の「世界の教え」です。

地下のシェルターがほしいけど現実的には…

以上織部さんのお話でした。ライター宮崎は将来新築で家を建てるかもしれませんが、その時には地下を掘るのは難しいかもしれません。なぜなら、予算もないのですが、予定の土地には地下に水が通っており、地下室を掘るのが困難かと思われるからです。これもしっかりとした調査をしてみないと分からない話ではありますが、現実的には地上の一部屋に換気装置を付けるというのが一番やりやすいと思いました。でも地下の核シェルター、ほしいです。

参考:株式会社織部精機製作所のホームページ
http://www.oribe-seiki.co.jp/index.html

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