防災ハウツー

宮城県防災指導員の防災士・太田幸男さんに学ぶ「大地震による火事に巻き込まれないためのポイント」

公開日:2017.02.16 更新日:2017.02.16

2016年12月に新潟県糸魚川市で起きた火災は記憶に新しいところですが、あの大きな火事を報道などで見て火事の恐ろしさを改めて思った方も多いのではないでしょうか。
火事は、大地震の時にも発生します。例えば阪神淡路大震災では、死者数6,434人のうちの約1割もの方が焼死・熱傷で亡くなられました。そして東日本大震災の時は、死者数15,893人・行方不明者数2,573人のうち、190人が焼死だったと言われています。
熊本地震では火災は少なかったですが、今後、もし大地震が起きたとしたら火事を防ぐために、また巻き込まれないためにどうしたらよいのでしょうか。元航空自衛官で、東日本大震災ではボランティアの立場で生存者を探され、熊本地震では阿蘇市に来ていただき、救援活動に尽力された、宮城県防災指導員で防災士の太田幸男さんに、ままくまのライター宮崎が話を伺いました。

大地震後の火災の原因にはショート・漏電もある

(宮崎)阪神淡路大震災や東日本大震災と比べ、熊本地震では火災は少なかったですが、その原因はどんなことだったのでしょうか。

(太田さん)4月14日21時26分、また4月16日午前1時25分という地震の発生日時が影響していると思います。食事の準備でガスコンロなどを使用している時間帯であれば、そこからの火災発生が考えられます。また、ガスや石油ストーブ等の地震感知センサーが正常に動いたことも要因としてあったでしょう。

(宮崎)大地震が起きて火事になる原因としてはどんなことがありますか?

(太田さん)ガスコンロからの引火の場合、ゆれで燃えやすいものが火のそばに落ちて大きな火になるということが考えられます。石油ストーブの場合、石油ストーブが揺れにより倒れ、そこにある燃えやすいものに火が移るということがあります。
また、照明が落下し、電気の線が露出してしまい、そこからショートして火が出てしまうこともあります。大きな揺れで電化製品の線が切れると、大地震の直後に停電していても、電気が復旧した時に、断線部分から火花が出て火事の原因になります。
集合住宅では、上階からの水漏れによる漏電も火事の原因としてあり得ます。

消火器の使い方から今一度確認しよう

(宮崎)大地震が起きて火事が起きたら、私達はどんな状態になるのでしょうか。

(太田さん)パニックになり動けなくなります。そして、大事な初期消火ができない心理状態に陥ります。日頃の訓練によって、火が出ても「私は初期消火ができる!」という自信を持つことが大切です。また、初期消火で消えない場合に「逃げる」ということを知っておくことが重要です。

(宮崎)火事を防ぐために、大地震が起きたら、私達はどういう行動をとるべきでしょうか。

(太田さん)まずご自身の身を守る行動をとっていただきたいと思います。小さい火の場合、消火することができますが、大きい火になった場合、消火は困難になりますから、速やかに避難を実施してください。常日頃から消火器を常備し、その使い方を練習することも忘れずに。逃げる場合は、火災発生場所と今自分がいる場所、それに風向きを確認し、公園のような広い空き地や河川敷へ避難をしましょう。避難する際は、ブレーカーは落として逃げてください。電気が復旧した時に、切れた電線などから火花が出て火事の原因になります。

(宮崎)大地震による火災を防ぐために、普段から私達が気を付けておくべきことはありますか?

(太田さん)地震の最初の揺れの時に、火を止めることができるかどうかが重要だと思います。例えば調理中であればガスコンロを止める、石油ストーブの電源を切る、といったことをします。そして、火を使う器具の周りには燃えやすいものを置かない、また物が火に落ちてくるような状況を日頃から作らないという心がけが大切です。
家具には転倒防止の器具を取り付けておくことも重要です。

当事者意識の欠如は訓練することで防げる

(宮崎)防災に対する備えとして、私達に一番不足しているのはどんなことだと思われますか?

(太田さん)危機意識・当事者意識の欠如だと思います。
私たちには、「自分のところは大丈夫だ」という楽観的な意思が存在します。誰しも、災害を望んでいるわけではありません。
「災害が来るわけがない、また来るか来ないかわからないけど大丈夫だ」という気持ちで生活をしています。

私もそうでした。東日本大震災の時は、これほどの規模まで想定されていませんでしたが、宮城県沖地震の発生確率は99.9%と言われていたのです。
しかし、私はたいした準備はしていませんでした。東日本大震災当時は、名取市サイクルスポーツセンターの施設管理者としてハザードマップを見ていたのと、避難所の場所の把握・災害状況報告のみしていました。
津波が襲来するなどということは、意識して考えていませんでした。
震災当日は、お客様はいらっしゃらず、施設職員と私だけだったので、助かりましたが、お客様がいらしたら、お客様を安全な場所に誘導する。という責務がありますから、きっと私は死んでいたのではないでしょうか。

東日本大震災後、地球規模の地殻変動が起きています。震源地も地下100kmを超えたところで大きな地震が発生しています。大規模なマントルの移動が原因と考えられます。また、世界規模での火山の噴火の件数や震度3以上の地震の回数も増えました。
いつどこで大地震・大規模火山噴火が起きても不思議ではない時代に突入したと、私たちは大きな災害が起きる時代に生きているのだと感じています。
ですから、日頃から危機意識を持って、いざ災害が発生したらどのような行動をとるべきか事前に考え、検証しておくことがとても大事です。
そうすれば、命を失う可能性は低くなり、パニックになることもないと思います。
また、防災訓練・避難訓練などには積極的に参加しましょう。自分の命を守る訓練です。
練習を何度も繰り返すことで、避難についてのイメージが湧くので、本番にいかすことができます。避難イメージができると、生存確率は、ぐんと上がります。

日本は過去に大きな地震をはじめとする大災害が頻繁に起きてきた国です。
例えば、南海トラフ地震に関して言えば、1946年に昭和南海地震という甚大な被害をもたらした地震があっているのです。また、1933年には昭和三陸地震が起きています。1923年には関東大震災も起きました。しかし、きちんと語り継いでいる人がいません。過去の嫌な思い出を忘れたいという思いがあったのでしょう。しかし、阪神淡路大震災を契機に、語り部という方も出てきました。東日本大震災においても、語り部の方々が津波の悲惨さを忘れない為に語り継いでいます。

防災訓練は、身近で行われていなければ自分たちで工夫して行うこともできます。
例えば、ゲーム感覚で避難所までの道のりを確かめるようなものはどうでしょうか。訓練後には公民館で花火をしたり肝試し大会をしたりすれば、子供達も喜んで参加するのではないでしょうか。それと、避難所にはどれくらいの人が寝られるスペースがあるのかというのも人数当てクイズのような感じで確かめてみるのもいいでしょう。炊き出しの練習として芋煮会などをやってみるのも一案です。鍋の大きさで何人分出来るか?クイズを出しましょう〜!
工夫することで、訓練も遊びのような感覚で行うことができるはずです。

子供といざという時のシミュレーションをしておきたい

以上太田さんへのインタビューでした。火事に巻き込まれないためには、日頃から災害が起きた時のシミュレーションをすることが重要なのだと感じましたが、まずは消火器の使い方の確認からやりたいと思いました。消火器の使い方は、下記サイトで見ることができます。
消火器の使い方(消火器メーカー・モリタ宮田工業株式会社のページです。)
http://www.moritamiyata.com/about_extinguisher/how_to_use/

また、子供と一緒に行う訓練としてはゲーム感覚で行えるものをという太田さんの意見に賛成です。ママ達の体験談にも、防災の話を子供にしているというものがありましたが、いざ地震が起きた時のシミュレーションを子供とやっておくというのも大切なことだなと思います。